この一文を、辞書なしで読めるようになる。
フランツ・カフカ『変身』(1915年)の書き出しです。単語をタップすると、意味と文法の説明が出ます。
単語を選ぶとここに説明が出ます。
Als
〜したとき
過去の一回きりの出来事を表す従属接続詞。後ろの文の動詞を文末へ送る。
くわしくは第9課で
Gregor Samsa
グレゴール・ザムザ
主人公の名前。この副文の主語(1格)。
くわしくは第4課で
eines Morgens
ある朝
der Morgen の2格。前置詞なしで「いつ」を表す、2格の副詞的な使い方。
くわしくは第4課で
aus
〜から
いつも3格をとる前置詞。
くわしくは第6課で
unruhigen
落ち着かない
形容詞 unruhig に語尾 -en。un- は「否定」、Ruhe は「静けさ」。
くわしくは第10課で
Träumen
夢
der Traum の複数形 Träume に、複数3格の -n がついた形。
くわしくは第2課で
erwachte
目覚めた
erwachen の過去形。副文なので文の最後に来ている。
くわしくは第7課で
fand
見出した
finden(見つける)の過去形。不規則に母音が変わる「強変化動詞」。主文の2番目の位置にいる。
くわしくは第7課で
er
彼は
人称代名詞の1格。グレゴールを指す。
くわしくは第5課で
sich
自分自身を
再帰代名詞。sich finden で「自分が〜であると気づく」。
くわしくは第5課で
in
〜の中に
場所を表すときは3格、方向を表すときは4格をとる前置詞。ここは場所なので3格。
くわしくは第6課で
seinem
彼の
所有冠詞 sein に、中性3格の語尾 -em。
くわしくは第5課で
Bett
ベッド
das Bett。中性名詞。
くわしくは第2課で
zu
〜に(なって)
3格をとる前置詞。verwandeln と組んで「〜に変わる」の変化の結果を示す。
くわしくは第6課で
einem
一匹の
不定冠詞 ein の中性3格。zu が3格を要求しているため。
くわしくは第4課で
ungeheueren
とてつもない
形容詞 ungeheuer に語尾 -en。「途方もなく大きい、恐ろしい」。
くわしくは第10課で
Ungeziefer
害虫
das Ungeziefer。虫やネズミなど「いとわしい小動物」全般を指す語で、どんな虫かは書かれていない。
くわしくは第2課で
verwandelt
変えられて
verwandeln(変える)の過去分詞。文の最後に置かれ、「〜に変わってしまった状態の自分を見出した」となる。
くわしくは第8課で
日本語訳を見る
ある朝、グレゴール・ザムザが落ち着かない夢から目を覚ますと、自分がベッドの中で一匹のとてつもない虫に変わってしまっているのに気がついた。
このサイトについて
ドイツ語にまったく触れたことのない人が、カフカの短い作品を原文で読めるようになるまでの道のりです。文法を網羅するのではなく、カフカを読むのに必要なものから順に、実際にカフカの文に出てくる形を例にして学びます。
カフカのドイツ語は、文学のなかでは読みやすい部類です。語彙は日常的で、文は論理的に組み立てられ、比喩で飾り立てることもあまりありません。読みにくさは言葉そのものより、その平静な文体で語られる出来事の奇妙さのほうにあります。
- 青・赤・緑の色は、名詞の性(男性・女性・中性)を表します。
- ドイツ語の文の横にある「聞く」ボタンで、ブラウザの音声合成による読み上げが聞けます。
- 各課の最後で「読み終えた」を押すと、道のりにスタンプが押されます(このブラウザにだけ保存されます)。
コースの道のり
文法の課のあいだに、カフカの原文を読む回がはさまっています。上から順に進んでください。
- 第1課 文字と発音 ドイツ語はほぼ書いたとおりに読みます。いくつかの約束ごとを覚えれば、知らない単語でも声に出して読めます。 gelesen
- 第2課 名詞の性と複数形 ドイツ語の名詞には男性・女性・中性の3つの性があります。カフカの小説に出てくる名詞を例に、性と複数形の見分け方を学びます。 gelesen
- 第3課 動詞の現在形と語順 動詞は主語に合わせて語尾を変え、文の2番目に置かれます。この「2番目の規則」は、ドイツ語の文を読むための最大の手がかりです。 gelesen
- 第4課 4つの格 日本語の「が・の・に・を」の役目を、ドイツ語では冠詞の形の変化が担います。冠詞を見れば、語順がどうであっても誰が何をしたのかがわかります。 gelesen
- 第5課 代名詞と所有冠詞 「彼は・彼を・彼に」「彼の」「自分を」。カフカの文は代名詞で進んでいくので、誰のことを指しているのかを追えるようにします。 gelesen
- 第6課 前置詞 前置詞は後ろに来る名詞の格を決めます。逆に言えば、格を見れば前置詞の意味が絞り込めます。とくに「場所か、方向か」で格が変わる前置詞が大切です。 gelesen
- 第7課 過去形:物語の時制 カフカの小説の地の文は、ほとんどが過去形で書かれています。過去形の形を見て元の動詞がわかれば、小説を読む準備はほぼ整います。 gelesen
- 読解1 Gibs auf! 朝の町で道に迷った「私」と、巡査の短いやりとり。全文わずか10行ほどの、カフカの完結した作品をまるごと読みます。 gelesen
- 第8課 過去分詞・完了形・受動 「〜してしまった」「〜された」を表す過去分詞は、文の最後に置かれることが多い形です。『変身』の冒頭文を締めくくる verwandelt も過去分詞です。 gelesen
- 第9課 副文と枠構造 ドイツ語の文は、動詞が文頭近くと文末に分かれて、その間に言葉をはさむ「枠」の形をしています。この形がわかると、カフカの長い文が急に読みやすくなります。 gelesen
- 第10課 形容詞の語尾 名詞の前の形容詞には語尾がつきます。全部の表を覚える必要はありません。読むためには、語尾を外して元の形を見つけられれば十分です。 gelesen
- 読解2 Die Verwandlung トップページの一文に戻ってきました。今度はその続きの段落まで、『変身』の書き出しを原文で読みます。 gelesen
- 第11課 接続法:間接話法と「〜かのように」 「〜だと彼は言う」「もし〜なら」「まるで〜かのように」。現実とは少し距離のある言い方を、ドイツ語では動詞の特別な形で表します。カフカの文に欠かせない形です。 gelesen
- 読解3 Vor dem Gesetz 門の前に立つ門番と、中に入りたい田舎の男。カフカの作品のなかでもっともよく知られた寓話の書き出しを、これまでの課の総まとめとして読みます。 gelesen