第6課
前置詞
Präpositionen
前置詞は後ろに来る名詞の格を決めます。逆に言えば、格を見れば前置詞の意味が絞り込めます。とくに「場所か、方向か」で格が変わる前置詞が大切です。
この課で読めるようになるもの
aus unruhigen Träumen · in seinem Bett · zu einem Ungeziefer
前置詞は格を指定する
ドイツ語の前置詞は、それぞれ後ろの名詞に決まった格を求めます。カフカの文によく出るものから覚えましょう。
いつも3格をとる前置詞
| 前置詞 | 意味 | カフカの文から |
|---|---|---|
| aus | 〜(の中)から | aus unruhigen Träumen 落ち着かない夢から |
| mit | 〜と一緒に、〜で | mit meiner Uhr 私の時計と |
| nach | 〜の後で、〜へ、〜を求めて | nach dem Weg 道を(尋ねる) |
| von | 〜から、〜の | von mir 私から |
| zu | 〜のところへ、〜に | zu ihm 彼のところへ |
| bei | 〜のそばで、〜のもとで | bei den Eltern 両親のもとで |
| seit | 〜以来 | seit Jahren 何年も前から |
いつも4格をとる前置詞
| 前置詞 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| durch | 〜を通って | durch die Tür 戸を通って |
| für | 〜のために | für die Familie 家族のために |
| gegen | 〜に向かって、〜に反して | gegen die Wand 壁に向かって |
| ohne | 〜なしに | ohne Grund 理由なく |
| um | 〜の周りに、〜を(求めて) | um Eintritt 入ることを(頼む) |
場所なら3格、方向なら4格
次の9つの前置詞は、どこにあるか(場所)を表すときは3格、どこへ向かうか(方向)を表すときは4格をとります。
an(〜のきわに)・auf(〜の上に)・hinter(〜の後ろに)・in(〜の中に)・neben(〜の横に)・über(〜の上方に)・unter(〜の下に)・vor(〜の前に)・zwischen(〜の間に)
Vor dem Gesetz steht ein Türhüter.
掟の前に門番が立っている。(dem = 3格:立っている場所)
Vor dem Gesetz
Er bittet um Eintritt in das Gesetz.
彼は掟の中へ入ることを頼む。(das = 4格:入っていく方向)
Vor dem Gesetz
同じ in でも、in seinem Bett(ベッドの中で、3格)は場所、in das Gesetz(掟の中へ、4格)は方向です。日本語の「で」と「へ」の違いが、冠詞の形に現れていると考えてください。
前置詞と冠詞の融合
よく使う組み合わせでは、前置詞と定冠詞がくっついて1語になります。
| 融合形 | 元の形 | 例 |
|---|---|---|
| zum | zu dem | zum Bahnhof 駅へ |
| zur | zu der | zur Arbeit 仕事へ |
| vom | von dem | vom Lande 田舎から |
| im | in dem | im Zimmer 部屋の中で |
| ins | in das | ins Zimmer 部屋の中へ |
| am | an dem | am Morgen 朝に |
| beim | bei dem | beim Frühstück 朝食のときに |
動詞と組になる前置詞
動詞によっては、特定の前置詞と組になって決まった意味を作ります。辞書ではこの組み合わせで載っています。
- um etwas bitten 〜を頼む
- nach etwas fragen 〜について尋ねる
- an etwas denken 〜のことを考える
- auf etwas warten 〜を待つ
『掟の門前』の男は、何年も auf den Eintritt warten(入れてもらうのを待つ)ことになります。
確かめる
in seinem Bett の in は、場所と方向のどちら?
seinem は3格(-em)なので場所「ベッドの中で」です。方向なら in sein Bett(4格)になります。
zum Bahnhof を元に戻すと?
zum = zu dem。der Bahnhof(駅)は男性名詞なので3格は dem です。
aus の後ろの名詞は何格?
aus はいつも3格です。aus unruhigen Träumen の Träumen が複数3格の -n をつけているのはこのためです。