第5課
代名詞と所有冠詞
Pronomen und Possessivartikel
「彼は・彼を・彼に」「彼の」「自分を」。カフカの文は代名詞で進んでいくので、誰のことを指しているのかを追えるようにします。
この課で読めるようになるもの
fand er sich in seinem Bett
人称代名詞も格変化する
名詞の冠詞と同じように、代名詞も格によって形が変わります。英語の he / him と同じ仕組みですが、ドイツ語では「に」と「を」も形が違います。
| 1格 が | 3格 に | 4格 を | |
|---|---|---|---|
| 私 | ich | mir | mich |
| 君 | du | dir | dich |
| 彼 | er | ihm | ihn |
| 彼女 | sie | ihr | sie |
| それ | es | ihm | es |
| 私たち | wir | uns | uns |
| 君たち | ihr | euch | euch |
| 彼ら | sie | ihnen | sie |
| あなた | Sie | Ihnen | Sie |
まず ihn(彼を)と ihm(彼に)、mir(私に)と mich(私を)を区別できるようにしましょう。
er は「彼」とは限らない
ここがドイツ語を読むときの落とし穴です。代名詞は、指している名詞の文法上の性に合わせます。だから er は「彼」だけでなく、男性名詞の物も指します。
- der Apfel(りんご)→ er(それは)
- die Tür(戸)→ sie(それは)
- das Zimmer(部屋)→ es(それは)
『変身』では、sie が妹グレーテなのか、母なのか、戸なのか、文脈から判断する必要がある場面が何度も出てきます。sie を見たら、直前の女性名詞と複数名詞を探すくせをつけてください。
所有冠詞:「〜の」
「私の」「彼の」などは、ein と同じ語尾をとる冠詞として使います。
| 人 | 所有冠詞 |
|---|---|
| 私の | mein |
| 君の | dein |
| 彼の / それの | sein |
| 彼女の | ihr |
| 私たちの | unser |
| 君たちの | euer |
| 彼らの | ihr |
| あなたの | Ihr |
語尾は第4課の ein の表と同じです。in seinem Bett(彼のベッドの中で)の seinem は、sein に中性3格の -em がついた形です。
Er lag auf seinem panzerartig harten Rücken.
彼は甲羅のように硬い背中を下にして横たわっていた。(seinem = 男性3格。der Rücken 背中)
Die Verwandlung
再帰代名詞 sich:「自分を・自分に」
主語と同じ人を指す「自分を・自分に」は、3人称では sich という特別な形を使います(1・2人称は mich, dich などをそのまま使います)。
sich finden は直訳すると「自分を見出す」ですが、「(気がつくと)自分が〜の状態にある」という意味になります。
ドイツ語には、sich とセットで一つの意味になる動詞がたくさんあります。
- sich beeilen 急ぐ:ich mußte mich sehr beeilen(私はとても急がなければならなかった)
- sich abwenden 背を向ける:er wandte sich ab(彼は背を向けた)
辞書ではこうした動詞は sich と一緒に載っています。
確かめる
Er sieht ihn. の意味は?
er は1格(彼が)、ihn は4格(彼を)。ふたりは別人です。同じ人なら sich を使います。
die Tür を指す代名詞は?
Tür は女性名詞なので、物であっても sie で受けます。
seinem Bett の seinem の語尾 -em は何を示す?
ein の表と同じく、-em は男性か中性の3格です。Bett は中性。