読解2
Die Verwandlung
変身
トップページの一文に戻ってきました。今度はその続きの段落まで、『変身』の書き出しを原文で読みます。
作品について
『変身』は1912年の終わりに書かれ、1915年に出版された中編小説です。主人公グレゴール・ザムザは外回りのセールスマンで、借金を抱えた両親と妹を一人で養っています。その彼が、ある朝、虫になっています。
物語は、なぜそうなったのかを最後まで説明しません。グレゴール自身も、驚くより先に、仕事に遅れることを心配し始めます。
原文
Als Gregor Samsa eines Morgens aus unruhigen Träumen erwachte, fand er sich in seinem Bett zu einem ungeheueren Ungeziefer verwandelt. Er lag auf seinem panzerartig harten Rücken und sah, wenn er den Kopf ein wenig hob, seinen gewölbten, braunen, von bogenförmigen Versteifungen geteilten Bauch, auf dessen Höhe sich die Bettdecke, zum gänzlichen Niedergleiten bereit, kaum noch erhalten konnte. Seine vielen, im Vergleich zu seinem sonstigen Umfang kläglich dünnen Beine flimmerten ihm hilflos vor den Augen.
»Was ist mit mir geschehen?« dachte er. Es war kein Traum.
一文ずつ読む
1. 目覚め
トップページの一文です。ここまでの課で、すべての語の形が説明できるようになりました。
2. 背中と腹
この段落でいちばん長い文です。四つに分けて読みます。
- dessen は関係代名詞の2格です。直前の男性名詞 Bauch を受けて「その腹の」。
- sich erhalten は「自分を保つ」、つまり「(落ちずに)とどまる」。
- zum gänzlichen Niedergleiten bereit はコンマではさまれた挿入です。「完全にずり落ちる準備ができた状態で」。いったん飛ばして、die Bettdecke … kaum noch erhalten konnte と骨組みを読んでから戻ると楽です。
3. 脚
Seine から Beine までが一つの主語です(第10課)。そのため動詞 flimmerten は、この長い主語の後の2番目の位置に来ています。
ihm … vor den Augen は直訳すると「彼に対して、目の前で」。ドイツ語では、体の部分が誰のものかを、所有冠詞ではなく3格の代名詞で示すことがよくあります。
4. 夢ではなかった
長くこみいった描写のあとに、とても短い二つの文が来ます。ここで文のリズムが急に変わることにも注目してください。
全文訳
考えてみる
最初の一文で、変身はもう終わっています。過去分詞 verwandelt(変えられた)が示すのは、変わっていく過程ではなく、変わってしまった結果だけです。
そのあとカフカは、虫の体を、背中・腹・脚と順に、落ち着いた正確な文で描いていきます。叫び声も嘆きもありません。「Es war kein Traum.」の四語は、読者にとってもこの世界のルールの宣言になっています。
確かめる
auf dessen Höhe の dessen が指すのは?
男性2格の関係代名詞なので、直前の男性名詞 Bauch(腹)を受けます。「その腹の盛り上がりの上で」。
wenn er den Kopf ein wenig hob の wenn が als でない理由は?
頭を持ち上げるたびに腹が見える、というくり返しの出来事なので wenn です。
第3文 Seine vielen … Beine flimmerten … の主語の中心の名詞は?
冠詞 Seine(複数1格)に対応する名詞は Beine(脚)です。間の語句はすべて Beine にかかっています。