Deutsch für Kafka カフカを読むためのドイツ語
コースの道のり

読解2

Die Verwandlung

変身

トップページの一文に戻ってきました。今度はその続きの段落まで、『変身』の書き出しを原文で読みます。

作品について

『変身』は1912年の終わりに書かれ、1915年に出版された中編小説です。主人公グレゴール・ザムザは外回りのセールスマンで、借金を抱えた両親と妹を一人で養っています。その彼が、ある朝、虫になっています。

物語は、なぜそうなったのかを最後まで説明しません。グレゴール自身も、驚くより先に、仕事に遅れることを心配し始めます。

原文

Als Gregor Samsa eines Morgens aus unruhigen Träumen erwachte, fand er sich in seinem Bett zu einem ungeheueren Ungeziefer verwandelt. Er lag auf seinem panzerartig harten Rücken und sah, wenn er den Kopf ein wenig hob, seinen gewölbten, braunen, von bogenförmigen Versteifungen geteilten Bauch, auf dessen Höhe sich die Bettdecke, zum gänzlichen Niedergleiten bereit, kaum noch erhalten konnte. Seine vielen, im Vergleich zu seinem sonstigen Umfang kläglich dünnen Beine flimmerten ihm hilflos vor den Augen.

»Was ist mit mir geschehen?« dachte er. Es war kein Traum.

Franz Kafka, Die Verwandlung(1915年)冒頭

一文ずつ読む

1. 目覚め

Als 〜したとき副文(第9課) Gregor Samsa グレゴール・ザムザが eines Morgens ある朝2格(第4課) aus 〜から3格支配(第6課) unruhigen 落ち着かない語尾 -en(第10課) Träumen 夢複数3格(第2課) erwachte, 目覚めた過去形・副文の最後(第7課) fand 見出したfinden・2番目 er 彼は sich 自分を再帰代名詞(第5課) in seinem Bett 彼のベッドの中で3格:場所 zu einem 一匹の〜にzu + 3格 ungeheueren とてつもない Ungeziefer 害虫 verwandelt. 変えられた過去分詞・文末(第8課)
ある朝、グレゴール・ザムザが落ち着かない夢から目覚めたとき、彼は自分がベッドの中で一匹のとてつもない害虫に変わってしまっているのに気がついた。

トップページの一文です。ここまでの課で、すべての語の形が説明できるようになりました。

2. 背中と腹

この段落でいちばん長い文です。四つに分けて読みます。

Er 彼は lag 横たわっていたliegen auf seinem 彼の〜の上に3格:場所 panzerartig 甲羅のようにPanzer(甲羅・装甲)+ -artig(〜のような) harten 硬い Rücken 背中
彼は甲羅のように硬い背中を下にして横たわっていた。
und sah, そして見たsehen wenn 〜するたびにくり返しの wenn er 彼が den Kopf 頭を4格 ein wenig 少し hob, 持ち上げたheben・副文の最後
そして、頭を少し持ち上げると、見えた…
seinen 彼の男性4格:sah の目的語 gewölbten, 丸く盛り上がった braunen, 茶色の von bogenförmigen 弓形の〜によって Versteifungen 硬い筋 geteilten 区切られた Bauch, 腹
(彼の)丸く盛り上がった、茶色の、弓形の硬い筋でいくつにも区切られた腹を
auf dessen Höhe その(腹の)高みの上でdessen:男性2格の関係代名詞 sich 自分を die Bettdecke, 掛け布団が主語 zum gänzlichen 完全な〜へ向けてzu dem Niedergleiten ずり落ちること動詞を名詞にしたもの bereit, 準備ができて kaum noch もうほとんど〜ない erhalten 保つ konnte. 〜できたkönnen・副文の最後
その盛り上がりの上で、掛け布団は、すっかりずり落ちる寸前で、かろうじて持ちこたえていた。
  • dessen は関係代名詞の2格です。直前の男性名詞 Bauch を受けて「その腹の」。
  • sich erhalten は「自分を保つ」、つまり「(落ちずに)とどまる」。
  • zum gänzlichen Niedergleiten bereit はコンマではさまれた挿入です。「完全にずり落ちる準備ができた状態で」。いったん飛ばして、die Bettdecke … kaum noch erhalten konnte と骨組みを読んでから戻ると楽です。

3. 脚

Seine vielen, 彼のたくさんの主語の始まり im Vergleich 比べると zu seinem sonstigen Umfang 彼のふだんの大きさと kläglich dünnen 情けないほど細い Beine 脚が主語の名詞 flimmerten ちらちら揺れたflimmern・2番目 ihm 彼の(目の前で)3格 hilflos なすすべもなく vor den Augen. 目の前で複数3格
ふだんの体の大きさに比べると情けないほど細いたくさんの脚が、目の前でなすすべもなくちらちらと揺れていた。

Seine から Beine までが一つの主語です(第10課)。そのため動詞 flimmerten は、この長い主語の後の2番目の位置に来ています。

ihm … vor den Augen は直訳すると「彼に対して、目の前で」。ドイツ語では、体の部分が誰のものかを、所有冠詞ではなく3格の代名詞で示すことがよくあります。

4. 夢ではなかった

»Was 何が ist (完了の助動詞)sein mit mir 私に geschehen?« 起きた過去分詞 dachte er. と彼は思ったdenken Es war それは〜だった kein Traum. 夢ではない
「僕に何が起きたんだ?」と彼は思った。夢ではなかった。

長くこみいった描写のあとに、とても短い二つの文が来ます。ここで文のリズムが急に変わることにも注目してください。

全文訳

考えてみる

最初の一文で、変身はもう終わっています。過去分詞 verwandelt(変えられた)が示すのは、変わっていく過程ではなく、変わってしまった結果だけです。

そのあとカフカは、虫の体を、背中・腹・脚と順に、落ち着いた正確な文で描いていきます。叫び声も嘆きもありません。「Es war kein Traum.」の四語は、読者にとってもこの世界のルールの宣言になっています。

確かめる

auf dessen Höhe の dessen が指すのは?

wenn er den Kopf ein wenig hob の wenn が als でない理由は?

第3文 Seine vielen … Beine flimmerten … の主語の中心の名詞は?