第1課
文字と発音
Buchstaben und Aussprache
ドイツ語はほぼ書いたとおりに読みます。いくつかの約束ごとを覚えれば、知らない単語でも声に出して読めます。
この課で読めるようになるもの
Gregor Samsa · Ungeziefer · Verwandlung
英語より素直なつづり
ドイツ語のアルファベットは英語と同じ26文字に、ä ö ü(ウムラウト)と ß(エスツェット)の4文字を加えたものです。
英語と違って、ドイツ語はつづりと発音の対応がほぼ一定です。ローマ字読みを基本にして、この課の約束ごとを当てはめれば、初めて見る単語もだいたい正しく読めます。アクセントはほとんどの場合、最初の音節に置きます。
Franz Kafka
フランツ・カフカ。Franz の z は「ツ」。
母音の組み合わせ
二つの母音が並ぶと、決まった読み方をします。英語の感覚で読むと間違えやすいところです。
| つづり | 読み方 | 例 |
|---|---|---|
| ei | アイ | eines アイネス、mein マイン |
| ie | イー | die ディー、Brief ブリーフ(手紙) |
| eu / äu | オイ | Leute ロイテ(人々)、Träume トロイメ(夢) |
| au | アウ | aus アウス、auf アウフ |
ei と ie の区別がいちばん大切です。後ろの文字を読む、と覚えてください。ei は i で終わるので「アイ」、ie は e で終わるので「イー」です。
母音の後ろに h があるか、同じ母音が二つ並ぶと長く伸ばします。Ruhe(ルーエ、静けさ)、Meer(メーア、海)。
ウムラウト
点が二つついた母音は、口の形と舌の位置をずらした音です。
| 文字 | 出し方 | 例 |
|---|---|---|
| ä | 「エ」とほぼ同じ | später シュペーター(あとで) |
| ö | 「オ」の口の形で「エ」と言う | möglich メークリヒ(可能な) |
| ü | 「ウ」の口の形で「イ」と言う | Türhüter テューアヒューター(門番) |
子音の約束ごと
| つづり | 読み方 | 例 |
|---|---|---|
| s + 母音 | ザ行 | Samsa ザムザ、sein ザイン |
| sch | シュ | Schrecken シュレッケン(驚き) |
| 語頭の sp / st | シュプ / シュト | Straße シュトラーセ、steht シュテート |
| z | ツ | zu ツー、Zimmer ツィマー(部屋) |
| w | ヴ | war ヴァール、Weg ヴェーク(道) |
| v | フ | Vater ファーター(父)、vor フォーア |
| j | ヤ行 | ja ヤー |
| ß | ス(濁らない) | groß グロース、daß ダス |
| ch(a, o, u, au の後) | 喉の奥の「ハ」 | Nacht ナハト、auch アオホ |
| ch(それ以外) | 「ヒ」 | ich イヒ、nicht ニヒト |
| 語末の -ig | イヒ | unruhig ウンルーイヒ |
| 語末の -er | ア | er エア、Ungeziefer ウンゲツィーファー |
もう一つ、語の終わりの b, d, g は濁らずに p, t, k の音になります。und はウント、Weg はヴェークです。
『変身』の言葉を読んでみる
この課の約束ごとで、『変身』の書き出しに出てくる言葉はもう読めます。ボタンで音声を確かめてください(ブラウザの合成音声なので、少し機械的です)。
Gregor Samsa
グレーゴア・ザムザ。s + 母音でザ行。日本語訳で「ザムザ」と書くのはこのためです。
Ungeziefer
ウンゲツィーファー(害虫)。z は「ツ」、ie は「イー」、語末の -er は「ア」。
Verwandlung
フェアヴァンドルング(変身)。v は「フ」、w は「ヴ」。
Als Gregor Samsa eines Morgens aus unruhigen Träumen erwachte
アルス グレーゴア ザムザ アイネス モルゲンス アウス ウンルーイゲン トロイメン エアヴァハテ
確かめる
Brief(手紙)の読み方は?
ie は後ろの e を読んで「イー」です。
Zimmer(部屋)の最初の音は?
ドイツ語の z はいつも「ツ」の音です。
Vater(父)の読み方は?
v はふつう「フ」の音です。カフカと父の関係は、彼の作品の大きな主題のひとつです。